立ち食い鮨、蕎麦。立ち飲み居酒屋、角打ち。
今日もまた忙しく1日を過ごす人、過ごしている人、過ごした人々がパパッと立ち寄り思い思いの憩の時を立食形式で堪能している。
ある蕎麦屋では食券を買い「蕎麦で」と、控えめな声で注文。席につきカバンを足元に立て置き、そして麺をすする前に出汁をひと口すする人。スマートで、つい見とれてしまう。
ある角打ちでは黙々と日本酒を見定め「冷でください」と、注文。店に並ぶ缶詰をスっと選び、がま口のお財布を開く人。スマートで、つい声をかけたくなる(ダメです)。
私も1人スマートに立ち食いを実践するべく【いきなりステーキ】へ。香ばしく肉の焼ける匂いが腹ぺこの私を刺激する。
キッチンをキョロキョロ覗いてはダメだ、スマートにいきたいのだから。注文はメニューを見ずに笑顔で店員さんを呼ぶ。「赤ワインと、ワイルドステーキ300gお願いしまっす」まるで常連の如くスマートに。300gに怖気付くことも、ニヤニヤすることもしない。スマートな私を演出中なのだから。
やはりお肉には赤ワインだろう。先に届いたワインをスマートにひと口。窓際に立つ私が反射して、立ち姿が映っている。OKかっこいい(?)
では、外のお客様を呼び込める程の食べっぷりをご披露しようではないか!!「お待たせ致しました!」私のお肉が目の前に運ばれた今、スマートなショーの始まりです。
しかし、ひと口頬張りサイズにカットする所を見届けようと窓に映る私を見てみてビックリ。
ナイフをギコギコ動かしたその瞬間、私のスマートなショーは一瞬にして幕を閉じた。どんなに冷静にステーキにナイフを当てても、お肉をギコギコする度におしりがフリフリしてしまうのだ。
キティちゃんが踊るが如くプリティな動きなのだ!!スマート(改)プリティショー開演!笑いが込み上げてしまい、赤ワインに口をつけたら鼻息でグラスが曇ってしまう。
ああ、違うんだ。スマートとはこう言うのではない…違うんだけど…赤ワインとお肉、美味しいなぁ。サイコーだなぁ。
美味しいものには笑いが添えられているのか、笑いのある食卓が美味しいさを倍増させるのか…そんなことを考えた憩いの時間。