蓮の花は泥の中から生まれ、美しく花開く。彼らもまた、決して清らかで美しいだけの場所を歩んできたわけではなかった。泥中で喘ぐような困難を乗り越えた彼らが、今、華やかなステージに立つことが出来るのは、互いを信じ抜く強い絆があるからである。異なるパーソナリティを持つ二人が、背中を預け合える“バディ”になれたきっかけとは? 今、注目の二人組・風輪に、これまでの軌跡と今後の展望、そしてプライベートな一面までをたっぷりと語ってもらった。
風輪誕生秘話 〜それは挫折から生まれた
風輪結成のきっかけをお教えください。
拓也:風輪を結成する前の2020年3月、僕と翔司を含む4人グループでメジャーデビューを果たしました。しかし、デビューと同時にコロナ禍が始まります。ライブを開催したくても集客は叶わず、配信ライブを余儀なくされる日々。思うように活動できない現状に、当時リーダーを務めていた僕だけでなく、メンバー全員が頭を悩ませていました。次第に「これ以上の継続は難しい」と考えた僕は、「別の場所で、一からやり直したい」と翔司に打ち明けました。一番信頼し、相談を重ねていたのが彼だったからです。すると翔司から返ってきたのは、「拓也が辞めるなら、俺も辞める」という言葉でした。彼の「辞める」は、芸能界を去ることを意味していました。一番近くにいた僕は、彼が「歌いたい気持ちはあるのに、それができない状態」に葛藤していると分かっていました。それに、彼は一度口にした決意を簡単に覆すような性格ではありません。「彼が歌手を続けられる道はないか」と考えた僕は、自身のソロライブにゲストとして翔司を招き、歌う機会を作りました。ステージに立つ翔司からは「歌いたい」という熱い想いがあふれていました。その姿を見て、僕は「じゃあ、もう一回一緒に夢を見ない?」と声をかけたのです。
翔司:以前所属していたグループを辞めた後、拓也は頻繁に連絡をくれました。ソロライブの後も毎日のように「俺は一緒にやりたいと思ってる」と。でも、当時の僕は完全に腐っていました。コロナ禍で精神的にも金銭的にも余裕がなく、15年ほど芸能界にいても成功していなかったので、「この業界を続けていてもしょうがない」と諦めていたんです。そんな中、情熱的に語りかけてくれる拓也の姿を見て、「もう一度、彼と音楽活動をしよう」と思えるようになりました。ところが、そんな彼から「もう一人加入させたい」と言われたのです。
拓也:当時は僕の中でも考えがフワフワしてたんですよ。(新しいグループを)どういう形でやるのか、何人でやるのか、まったくイメージが固まっていませんでした。でも、翔司が「拓也と二人だったらやる」「それ以外はやらない」って言ったんです。その言葉で、不明瞭だった部分がクッキリと見えてきました。
翔司:僕は心の底から信頼できて、一緒に夢を見られる人とじゃなければ、活動したくありませんでした。正直なところ、それまでの僕には、同じ目標に向かって足並みを揃えられるメンバーとの出会いがなかったんです。唯一、拓也だけが、気持ちが重なる感覚をくれた相手でした。だったら、拓也と二人でやりたい。これまで通りポップスをやるのか、それとも演歌・歌謡曲の世界に飛び込むのか、方向性は何も決まっていませんでしたが、「拓也となら同じ夢を追いかけられる」という確信だけはありました。二人だったらやれる。そう思ったんです。もし拓也がいなかったら、今頃、芸能界どころか唄うことすら辞めていたでしょうね。
風輪が生まれたのはいつですか?
拓也:2021年の11月1日ですね。
翔司:そこまでよく覚えてますね(笑)。結成後、2年半程はインディーズで活動していました。インディーズで修行した後、徳間さんと契約させてもらってメジャーデビューです。
拓也:ちなみに「風輪」というグループ名は、僕たちと事務所のスタッフで決めました。僕が初めに「一輪」という名前を出したんです。「一輪の花」、つまり一人ひとりが集まることで花束になるイメージでした。そうしたら「輪」の部分だけが採用されて(笑)。でも、最終的にファンクラブの名前が「一輪」になったので、それはすごく嬉しいです。
グループ名が「風輪」に決まった時、好感触はありましたか?
翔司:ないです(笑)。最初は「これでいいのかな?」「『風鈴』と間違えられないかな?」と思っていました。でも、今はすごく愛着があって、大好きなグループ名です。もし今から違う名前に変わるとなったら嫌ですね。
互いへの想い
ステージでも息がピッタリのお二人ですが、元々相性は良いのですか?
翔司:相性は良いと思います。でも性格が全然違うんですよ(笑)。僕は拓也に対して理解出来ない部分が多いです。だけど、それが良いと思っています。ビジュアルも全然違うし、キャラ被りもしていない。お互いに持ってないものをそれぞれが沢山持っているから、逆に補い合えてバランスが良いんです。
拓也:性格や喋っている雰囲気で相性の良し悪しって判るじゃないですか? 僕は翔司と出会った時、直感的に「彼となら長く活動出来る」と感じました。今でもその時の直感は間違っていなかったと思っています。また、苦しみを共有し、一緒に年齢を重ねていけたのは大きいですね。例えば25歳ぐらいだったら互いに余裕なんて持てないし、相手を受け入れる器もないから尊敬し合えないと思うんですけど、40歳になって様々な経験を経てきたからこそ、さらに相性が良くなったというところはあります。
お互いの尊敬してるところを教えてください。
翔司:拓也には突破力があると思います。目標を決めたら、そこに向けてアクセルをガンッて踏み込む力があるんです。彼は好きなものに対して夢中になれるタイプなので。今は風輪に夢中になっていると思うし、風輪のためなら何でもするんじゃないかな。あと、おおらかなんですね。僕は感情的になっちゃうので、足元を掬われる時もあるんですけど、拓也は常に冷静。たまに何を考えてるか判らない時もありますが(笑)、冷静なところは尊敬しています。
拓也:面と向かって言われると照れますね(笑)。僕は大雑把な性格なので、頭の中にアイデアがたくさんあってもうまく表現できません。ですが、翔司は逆に形にするのが得意で、僕が言葉にできない気持ちをぶつけると、具体的にやるべきことや必要なことを細やかに補強してくれます。本当に有り難いです。
二人のプライベート
お休みの時は何をしていますか?
拓也:家族とよく旅行をしています。僕は母子家庭で育ったので、母が元気なうちに色々な場所へ連れて行ってあげたいという思いがあります。特に母は群馬から出たことがない人なので、余計にそう思うのかもしれません。僕は男4人兄弟の3番目で、下に弟が一人いるのですが、その弟も連れて母と旅行することが今の僕の楽しみです。これまでに北海道や韓国、直近では四国へ旅行しました。
翔司:いろんな人と会ったり、いろんな場所へ行ったりしています。僕はすごく欲があるんです。「なにか欲しい」「どこかへ行きたい」「あの人に会いたい」と思ったらそれを叶えたい。また結構せっかちな性格なので、休みの日は予定をギュッと詰め込んでます。先日も日帰りで甲子園に行って、試合後は東京に戻り、夜は友達と久し振りに会いました。昔は家に閉じこもっていましたが、今は休みが少ないので「貴重な休日なのに家で寝ているだけではもったいない!」と思うようになっちゃいました。
プライベートは別行動?
翔司:そうですね。さすがにプライベートまで一緒に遊ぶのは……キモチワルイ(笑)! 共通の趣味があって、それに関連したイベントなら一緒に出かけるんですけど、急に「今日、メシ行く?」とはならないですね。
拓也:(笑)
今の風輪、そしてこれから
風輪のステージは女性だけでなく男性の観客も結構いるイメージがあるのですが、どうですか?
翔司:まだお客様の9割は女性なんですが、最近は1人で来てくださる男性が1割位いらっしゃいますね。僕たちは結成当初から特定の層をターゲットに絞ってないんですよ。だからムード歌謡もあればバラード、ダンスナンバーもあるし、今作(「イル・テンポ・パッサ〜時は過ぎゆく〜」)のようなラテン調の曲も唄う。それが風輪の良さだと思います。
拓也:「この層に響かないと他の層にも広がらない」「ターゲットを絞るべきだ」という意見も分かります。ですが、僕たちは特定の層だけを狙うのではなく、もっと幅広い活動をしていきたいと思っています。「女性向けアイドル」という枠にハマりたくないんです。例えばショッピングモールでライブをした時、たまたま通りがかった年配の男性から「風輪の歌、良かったよ」と声をかけて頂けると、本当に嬉しくなります。活動を続ければ続けるだけ、さらに多くの人が僕たちの存在を知ってくれる。そしてライブに足を運んでくれる。これから風輪がどう広がっていくのか、僕たち自身も本当に楽しみです。
新曲「イル・テンポ・パッサ〜時は過ぎゆく〜」で目指していることはありますか?
拓也:ラテン調の楽曲は僕らにとっても初の試みなので、今までにない風輪を好きになって頂きたいと思いながら唄っています。今作のリリース以来、若いファンが増えてきていますね。一緒になって唄うと言うよりも、見て、聴いて楽しむ曲なので、ステージを観るのが好きな層の心に刺さっているのかなという気がします。おかげさまで沢山の方がこの曲を聴いてくださっていて、批判的な声も出てないのが嬉しいですね。
最後に読者へメッセージをお願いします!
拓也:今まで僕たちは多くの経験をし、時には挫折を味わいながらも、夢を叶えるために必死に走り続けてきました。僕たちの活動が、日々頑張っている皆さんの背中を少しでも押せたのなら嬉しいです。これからも、頑張る人が共感できるアーティストを目指していきますので、応援をよろしくお願いします!
「イル・テンポ・パッサ〜時は過ぎゆく〜」
「IL TEMPO PASSA(時は過ぎゆく)」を冠した、風輪にとって初のラテン調楽曲。ムード歌謡、バラード、ダンスナンバーと、結成当初から特定の層に絞らず幅を広げてきた二人が挑む新境地で、一緒に口ずさむというより「見て、聴いて楽しむ」一曲。リリース以降は若い世代のファンも増えているという、今の風輪を象徴する新曲です。
※発売日・品番・価格・収録内容など詳細は、各CDショップおよび音楽配信サービスの情報をご確認ください。
■ 風輪(ふうりん)プロフィール